葛城地区大規模緑地(葛城の森)とは、「つくばエクスプレス」の研究学園駅の北東、駅から徒歩約20分のところに広がる茨城県が所有する平地林です。隣接する私有地(保安林)と合わせると20haもの広さになり、開発が進むつくば市において、豊かな自然が残る貴重な場所です。かつて、ここは里山として人々に利用されてきたところで、現在でも様々な動植物が生息しています。私たちNPOつくば環境フォーラムは、今から10年以上も前から保安林の一部にて森林保全や環境教育の活動を行ってきました。現在、茨城県の委託を受けて、この緑地を里山公園として利活用する取り組みを進めています。

2021年8月10日火曜日

8月3日 植生ボランティア+葛城フォレスター

  暑さが一段と増してきました。葛城大規模緑地では、樹木が葉を茂らせ夏草が旺盛に生育し草原ではバッタが飛び交っています。今回の植生ボランティアでは、フェノロジー調査とナラ枯れ被害木がないか、ナラ枯れを引き起こすカシノナガキクイムシ(通称カシナガ)の潜入痕がないかを見て回りました。カシナガは体長5mmほどの甲虫ですが、5月~6月ごろ成虫が発生し、コナラ、クヌギ、クリ、シラカシなどブナ科の木に小さな穴をあけて潜入してナラ菌を伝播します。ナラ菌を植え付けて繁殖させるのは、自分や幼虫のエサとするためで、カシナガは「農業をする昆虫」とも言われています。カシナガは集合フェロモンを出して特定の木を集中加害(マスアタック)し、その被害は大径木に多いことが知られています。マスアタックされた木はナラ菌の繁殖によって樹液の流動が止まるため、夏場に葉が赤褐色になり枯れてしまうのです。かつて里山では定期的に木を伐採し利用しており、枯れた木も伐採して燃料にしていたため、被害が拡大することはなかったのです。里山での人の利用が停止したことが、被害の拡大につながっていると言えます。

フェノロジー調査をしています

ツユクサの花が涼しげに咲いていました

絶滅危惧種アイナエの生育状況を確認

アイナエの花(生育高を測定しました)
15cm以下の小さな花です。

ヤブガラシの花。橙色の花盤に蜜があって、昆虫がやってきます。

森の中で、カシナガの被害がないか確認をしました。
2チームで直径20cm上の対象木83本を確認しました。
今回歩いた場所では夏枯れの木やカシナガの潜入痕はありませんでした。

2018年3月にコナラ・クヌギを植樹したエリア。
大人の背丈以上に育って雑木林になりつつあります。

猛暑の中、草が旺盛に伸びます。葛城フォレスター活動で刈払いを実施しています。



 植生の状況にもよりますが、生きものの住みかとして刈り残しているエリアがあります。葛城フォレスターメンバーの1人が住宅地の近くの草むらでタヌキを目撃したそうです。

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