葛城地区大規模緑地(葛城の森)とは、「つくばエクスプレス」の研究学園駅の北東、駅から徒歩約20分のところに広がる茨城県が所有する平地林です。隣接する私有地(保安林)と合わせると20haもの広さになり、開発が進むつくば市において、豊かな自然が残る貴重な場所です。かつて、ここは里山として人々に利用されてきたところで、現在でも様々な動植物が生息しています。私たちNPOつくば環境フォーラムは、今から10年以上も前から保安林の一部にて森林保全や環境教育の活動を行ってきました。現在、茨城県の委託を受けて、この緑地を里山公園として利活用する取り組みを進めています。

2019年5月20日月曜日

動物調査から 水辺の一年間の変化



 だんだんと梅雨の足音が聞こえてくるような季節となりました。本日は、葛城の水辺で撮影された野生動物の動画を紹介します。

 葛城緑地の一角には、かつては谷津田として利用されていた小さな谷津があります。今では谷津田として使われなくなって久しく、もともと少し低い、周囲から水が集まりやすい地形であるため、同時に少しずつ周囲から土砂や落ち葉などが流れ込むなどして、年々水が溜まりづらくなりつつあります。それに伴い、生息する生き物も変化していきます。このように、だんだんと乾燥化が進んで生態系が変わっていくことを湿生遷移と言います。

 かつては、手入れをし続けてこのような場所を谷津田として、湿地帯として維持していました。それがむしろ、様々な生き物にとっての生息場所を提供し、豊かな生物多様性を維持していました。しかし、周辺で開発が進んで急速に湿地帯が失われつつあるつくばの研究学園都市では、そのような湿地帯は貴重となりつつあります。

 そこで、この葛城の水辺がどのような状態であれば、どのような生き物が生息するのかを調査しつつ、貴重な水辺の自然が維持されるような管理を目指しています。その一環として、市民の皆さんのご協力をいただきつつ、水辺での水面の面積を増やす実験をしていいます。そのような実験によって増えた水面で、どのような生き物がその環境を利用しているのか、一年間のカメラトラップ調査の一環で得られた動物の動画の一部を紹介します。

 2018年の5月に、みなさまのご協力のもと、水辺の最も深いところをさらに掘り込んで、水辺には開放水面が出来ました。少し掘っただけで、湧き水のような形でこんこんと水が湧き出て、写真のように水で満たされました。
2018年5月14日月曜日
5月の里山散歩ご報告 より

この後は、夏の暑さもあってか写真のように満々と水が溜まることはありませんでした。しかし、植物もない泥の場所が出来たためか、そのような場所で何かを探す動物が現れました。動画は、モズの親子とノウサギです。 


 モズの親子は、夏の間ずっと水辺を占拠していて、数百枚の画像が撮れてしまい担当者を困らせました。なにか良いエサがとれるような場所になっていたのかもしれません。ノウサギはしきりに泥をなめている様子が見られました。泥に含まれる何かを摂取しに来たのかもしれません。

 秋から冬には、ほとんど水が溜まることはなくなってしまいました。それでも、やはり周囲と比べて少し湿った、植物のない環境には何かがあるのか、ノウサギに続いてタヌキやキジなどが観察されました。




 状況が大きく変わったのは、3月に入ってからでした。この時期、比較的長い間まとまった雨が続いた結果、水辺全体に大きな開放水面が出来ました。少したって水が減っても、イベントで掘った場所には水が溜まり続けました。すると、これまで見られなかったイタチやハクビシン、そして水鳥であるアオサギなどが、たびたび見られるようになりました。






 このように、開放水面があり続けると様々な生き物が来るとわかり、前回の掘り込みから約一年たった先日、再びイベントにてみなさまのご協力をいただき、開放水面を広げてみました。
2019年4月24日
葛城里山クラブ春の交流会 より

 すると、今度はカルガモがいつもいるようになりました(枚数が多すぎて担当者を困らせています)。水にもぐって餌をとっている様子が観察されています。水鳥に関しては、いままで水辺に居ついてくれることがなかったのですが、これからは普通の光景になるかもしれません。


 一年間で、水辺の環境は変化し、同時にそこに出現する生き物も大きく変化してきました。今後も、このような変化を記録しつつ、適切な管理に結び付くようなデータを収集し続けていこうと思います。

2019年5月13日月曜日

5月12日 里山散歩

 5月の里山散歩は新緑ハイクです。風が気持ちよい新緑の森をゆったりといろんなものを見つけながら歩きました。

平成29年3月に苗を植えたエゴノキが初めて花をつけました!

自然に詳しいインストラクターが解説します

みんな思い思いに散策中

アカマツ林の再生をしたエリアは明るくて、いろいろな野草が見られます

絶滅危惧種のクチナシグサを今年も確認。クチナシのような実です。

羽化したばかりのハラビロトンボがいました。顔面に青い部分があるのはオスです。

子どもたちが夢中になっているのはムラサキケマンの実。
触るとはじけて飛び散ります。子孫を増やすしくみですね。

森の中でおいしいものを発見!

ウグイスカグラの実が甘く熟していました

エノキの木で、オオムラサキの幼虫も大きく育っていました。


2019年5月10日金曜日

5月7日 植生ボランティア

 5月第1回の植生ボランティア、新緑が美しい葛城の森にメンバーが集まり、フェノロジー(植物季節)調査を行ないました。植物の開花・結実状況を記録するのですが、花の多いこの時期は記録が大変ですが、いろんな花が観察できて楽しいです。調査の途中、外来種アメリカオニアザミの駆除をしたり、植樹した苗をチェックしたりして回りました。

ジュウニヒトエの花が雑木林の中に咲いていました。4月から次々と咲いて花期が長いですね。

フェノロジー調査で花をチェックしています

森の中でオオジシバリ(タンポポに似た花)がお花畑状態になっていました

早春にピンクの花を咲かせてたウグイスカグラは赤い実になりました

ギンランがあちこちで咲いています

アメリカオニアザミを退治中

とげがとても痛いアザミです。あっという間に大型になって種をたくさんまき散らします。

ユリ科のホウチャクソウの花

こちらは同じくユリ科のアマドコロ

ノウサギの被害にあわなかった苗に急いで肥料袋をかぶせた場所です。
苗の様子を確認しながら、伸びてきたクズの芽を刈り取りました。

ヤマザクラの苗がしっかり育っています。
ノウサギにかじられてしまった苗も多くは芽を吹きましたよ。