葛城地区大規模緑地(葛城の森)とは、「つくばエクスプレス」の研究学園駅の北東、駅から徒歩約20分のところに広がる茨城県が所有する平地林です。隣接する私有地(保安林)と合わせると20haもの広さになり、開発が進むつくば市において、豊かな自然が残る貴重な場所です。かつて、ここは里山として人々に利用されてきたところで、現在でも様々な動植物が生息しています。私たちNPOつくば環境フォーラムは、今から10年以上も前から保安林の一部にて森林保全や環境教育の活動を行ってきました。現在、茨城県の委託を受けて、この緑地を里山公園として利活用する取り組みを進めています。

2019年12月20日金曜日

12月18日 植生ボランティア

 予定していた17日が雨天だったため、翌日に順延してオオムラサキの越冬幼虫調査を実施しました。オオムラサキは国蝶であり、昔は日本中の里山に普通にいた蝶ですが、今は絶滅危惧種の仲間入りをしてしまいました。人が管理しなくなった里山では、生物多様性が低下して様々な動植物が絶滅の危機に瀕しています。葛城の森では定期的な下草刈りなど里山的管理が継続できてるので、オオムラサキも健在なのです。生息に様々な条件があるオオムラサキがいることは、ほかの多くの動植物にとっても居心地がいい里山であることの証拠です。この森でずっと命をつなげてくれることを願います。

オオムラサキの幼虫は、秋になると食樹であるエノキの木から降りてきて落ち葉の中で越冬します。

根元の落ち葉を一枚ずつめくって幼虫がいるか調べます。

オオムラサキの越冬幼虫がいました!背中に4対の突起があります。

近縁のゴマダラチョウの幼虫。こちらは背中の突起が3対です。

葛城の森にある50本のエノキで毎年調査をしています。今年は夏の不順な天候が響いたのか数が少ないです。

外来種のアカボシゴマダラの幼虫も若いエノキの根元にいました。
4対の突起がありますが、そのうち2対が大きいです。

2019年12月17日火曜日

筑波大学での調査発表会


 筑波大学自然保護寄附講座の里山実習が今年もおこなわれ、調査結果をまとめた発表会が12月16日に大学でありました。この実習は2016年から毎年、大学院の学生さんたちが1か月間、葛城大規模緑地と筑波山麓の「すそみの森」の様々な環境にセンサーカメラを5台ずつ10月の1か月間仕掛けて、写された動物の写真を精査し、グループでテーマを設定して検討、その結果から保全への提案をするというものでした。実際の出現状況や動画などで示された報告からは、都市エリアに残る葛城の森の貴重性がうかがえます。昨年までに比べて今年はノウサギの出現数が増えていることもわかりました。定点カメラに先月キツネが写ったことから、高次の捕食者の定着も期待されます。今後も筑波大学と連携した調査が続けらればと思います。

2019年12月8日日曜日

12月8日 里山散歩

 快晴に恵まれて暖かな日差しの中、里山散歩に出発しました。今年は、森の木々がきれいに黄葉してまだ残っています。木の実や草の実を観察しながら散策し、松林で落ち葉かきを行いました。子どもたちも手伝って30分ほどですっかりきれいになりました。

ウワミズザクラやクヌギの木の葉の黄葉がとてもきれいです。

見つけた木の実や草の実を観察しました。

トキリマメの実。赤いさやが割れて中からつややかな黒い実が出てきます。

アカマツの林で落ち葉かき。地表の落ち葉を除き土を貧栄養にすることで、アカマツが健全に保たれます。

集めた落ち葉は意外と思い。ブルーシートが活躍しました。

筑波学院大学の学生さんたちもボランティアで来てくれました。

松林の中がすっかりきれいになりました。子どもたちも大活躍です。

この桝にはクヌギなど広葉樹の葉を詰めました。

松葉も山になりました。落ち葉をエサに色々な昆虫が育つでしょう。

暖かだったので、トカゲの仲間のカナヘビが出てきました。コカマキリの卵もみつけました。

昨年の落ち葉はとても良い腐葉土になっていました。希望される方にお持ち帰りいただきました。

松林からさらに散歩して集合場所へもどりました。来月は、ここの茅(ススキ)を刈ります!

2019年12月4日水曜日

12月の里山散歩のご案内


12月は森を散策して、松林で落ち葉かきをします。松林の表土をかいて野草の発芽をうながす、カブトムシなどの昆虫のすみかをつくるなど、里山を豊かにすることにつながります。昨年積んだ落ち葉は、すっかり腐葉土となりました。植樹活動で活用しますが、たくさんあるので、ご自宅の花壇やプランター、家庭菜園などに使いたい方にお分けします。ぜひご参加ください。

〇日程
12月8日(日)9:50 集合~10:00散策開始~12:00解散
※少雨決行、荒天中止

〇服装・持ち物 動きやすい服装、運動靴(または長靴)、飲み物、タオル、帽子
 ☆汚れてもよい服装でお願いします。
 ☆天気がいいと汗ばむくらい暑くなるので体温調整できる服がおすすめです。

〇集合場所 葛城地区大規模緑地 北側の広場(学園の森3丁目)
スーパーセンタートライアルの隣、まんりょう公園の向かいです。
駐車可。分からない方はご連絡ください。

〇参加費 無料

〇申込み
道具の準備等があるので、できるだけ事前にお知らせください。
事務局へのメールもしくは電話で受付けます。

〇当日のご連絡・お問い合わせは電話でお願い致します。
TEL:080-3913-1298(つくば環境フォーラム携帯・当日のみ)
※欠席連絡はいりません。時間になりましたら出発します。

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葛城里山クラブ事務局
(一般財団法人つくば都市交通センター内)
メール:machisodate@tutc.or.jp
電話:029-859-1896(平日9時~5時半)
HP:http://www.tutc.or.jp/research/katsuragi

12月3日 植生ボランティア

 今回は、整備工事がされる場所のセンブリを移植する作業と、湿地エリアに生育するタコノアシの状況確認作業をしました。

カマツカの実。葉が落ちたので目立ちます。

 森の中は紅葉がまだまだきれいです。

センブリを移植する場所の地拵えをしました。

工事場所から掘り取ったセンブリ。今年花が咲いた株(種をつけて枯れる)と来年生長して咲く株。

並べて植えました。定着して増えることを期待します。

移動しながら植樹した苗を支柱に固定しました。

湿地エリアには今年は一年中水がたくさんありました。湿地の各所でタコノアシが育ちました。

タコノアシはすでに枯れ始めていました。花穂の形と秋に真っ赤になるのが名の由来です。

花穂の先を拡大すると実のさやが開いて種子が散布したことがわかりました。来年もっと増えるといいですね。

2019年11月11日月曜日

11月10日 里山散歩

 色づきはじめた葛城の森で11月の里山散歩(自然観察会)を行いました。気持ちよい秋晴れの中、センブリの花やいろんな木の実、面白いきのこなど、たくさんのものが観察できました。

ウワミズザクラの黄葉。陽に透かすと赤みがかった葉もあってとってもきれい。

子どもたちも参加してにぎやかに自然を楽しみました。

ハラビロカマキリの卵のう。来年に命のリレーです。

センブリの花も各所で見れました。

松林と雑木林の間の道。どんぐりが山ほど落ちています。

ニガクリタケ。死亡例もある毒キノコですが、食べなければ大丈夫。

ゴンズイの木の実。赤い果実が割れてくろい種子が出てきます。

地面の上に不思議なものを発見!

カキノキの葉にのせて切ってみました。スッポンタケの幼菌です。

伸びたスッポンタケもありました。姿がスッポンに似ているのが名の由来。
胞子を含む黒いねばねばはとても臭く、ハエを呼んで胞子を運んでもらいます。

2019年11月5日火曜日

11月5日 植生ボランティア

 今日は、センブリの分布状況やフェノロジー調査(植物の開花結実の記録)をしながら歩き、エノキの根元まわりの整備をしました。

ムラサキシキブの実。青空に映えてきれいです。

エノキの実も赤く色づきました。食べると甘い! 小鳥たちが大好きです。

ドングリがたくさん! これはコナラの実です。

もう、芽(根っこ)が出ています。秋のうちにしっかり根を張ります。

センブリの分布範囲やおおよその株数を調べています。

今年はたくさんの株が生育しています。

花も咲き出しました。センブリ(千振)、別名はトウヤク(当薬)。とても苦い!

ススキとメリケンカルカヤ(茶色の部分)が縞状に分布しています。

陽がよくあたる場所のセンブリの花はピンクがかっていました。

ヤマノイモの黄葉が目立ちます。

ヤマウルシがすっかり赤くなりました。

オオムラサキの越冬幼虫が降りてくる前にエノキの根元の整備をしました。